ベトナム株の魅力 ベトナム政府は2021年までに新興国入りを目指す

 米中貿易戦争により、企業の生産拠点の見直しが行われるようになり、東南アジアへ拠点を移す企業が次第に増えてきました。特に注目されてるのがベトナムであり、その賃金の安さや国民性、地理的有利性からも他国より優れているとされています。

 そこで今回は、ベトナムが新興国入りした際に与える株式市場への影響および発表時期の予測について解説していきたいと思います。

ベトナムは新興国ではなくフロンティア

 フロンティア市場とは、市場規模が新興諸国よりも小さく、流動性が低い市場のことを指します。次世代の新興市場と目されている国々の市場です。最後のフロンティアといわれるミャンマーはよく聞くと思いますが、実はベトナムもフロンティア市場に位置づけられるのです。

 ベトナム株式市場の時価総額は約15兆円ほどであり、トヨタの時価総額にも達しないほど市場は小規模となっています。

 

ベトナム政府はMSCI格付けで「新興国市場」を目指す

 ベトナム政府は、MSCI格付けでフロンティア市場から新興国市場にすることを目指しています。ベトナム株式市場が新興国に格上げされると、市場としての安定性が増したことになりますので、今まで参加してこなかった機関投資家がポートフォリオを組み直すため機械的にベトナムに投資してくる可能性があります。

 つまり、機関投資家は新興国で運用する時、リスクを平均化するために全市場に資産を分散します。そこに新たに新興国が誕生すると、そこにも資産を配分しなければならなくなるのです。

 

一人当たり名目GDPが3000ドルに近づいてきている

 一般に1人当たりGDPが3000ドルを超えると家電製品や家具といった耐久消費財の売れ行きが加速するといわれ、紙おむつなどの便利さや快適さを重視した日用品が売れ始めるとされています。ここを超えると、次に意識されるのが自動車や高級家電の普及に拍車がかかるとされる7000~1万ドルの水準であり、新興国が目指す水準とされています。

 そういった中で、ベトナムの17年の1人当たりGDPは約2300ドルでしたが、ホーチミン市は4000ドルを超え、ハノイも3000ドル台後半に達しており、新興国の目標に向け成長を続けています。

 

安価な労働賃金

 ベトナムの労働賃金は、アジア各国の中でも魅力的な水準です。特に、中国の北京や上海に比べると三分の一ほどの労働賃金になります。タイやインドと比べても労働賃金が安いので、企業の進出する際の優先度は非常に高いと思われます。また、国民性としても親日であり勤勉な性格です。初等教育に至っては、就学率がほぼ100%に近い水準で日本と遜色ありません。

過去新興国入りした国の株式市場の変化率

 過去フロンティア市場から新興国への格上げが行われた国の「格上げ発表から実施まで」の株式市場の動向を振り返ると、下記の通りアラブ首長国連合やパキスタンの株式市場は大きく上昇しています。

 ここで、実施期間として1年間かけているのは、すぐに新興国に格上げしてしまうと大量の資金が流入してしまい、市場が混乱してしまうのを避けるためです。

 両国とも格上げを実施する5月末に株式市場が高値を取っていることが読み取れます。これは、イベントの修了に伴う材料出尽くしによるものです。

 

アラブ首長国連合株式市場、85.5%上昇(2013/6/11~2014/5/31)

 

   

パキスタン株式市場、34.8%上昇(2016/6/142017/5/31

 

ポイント

 注目すべきは、上記二か国は、6月半ばに格上げが発表され、翌年5月末に実施されているという点です。これは、格付け機関の格上げ発表時期が6月半ばであるためだと考えられます。この格上げイベントは、各国に2回しかなく、市場へのインパクトとしても非常に大きくなります。

 

ベトナム株に投資するには

 ベトナム株には、投資信託という形で投資することが可能です。しかし、ベトナムの株式市場自体が非常に小規模であることから、買い付け上限が設定されているので、買いたいときに買い付けできない可能性があります。今後ベトナムへの投資を検討される際は、そのことにも注意しておいた方がいいでしょう。

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